最近、ホームページ制作でのトラブルが多いようです。それも個人事業者、フリーランサーとの問題が生じ易いようです。「自称プロ」が引き起こすのかも知れません。
私どもの周辺で実際に起きた事例は、依頼者とランサーでの仕事のマーケットプレイスの一つを通じて、ホームページ制作を請け負ったはずの田中氏というフリーランサーが紛争を引き起こした張本人なのですが、なにを考えているのか、その田中を名乗る30代後半の男性は、「(そのマッチングサイト経営会社があたかも請負契約の当事者であるような言い分で)個人契約ではない」と主張し法的な責任から逃れようとしており、話し合いにも応じる気配がないという悪質なものです。
その後の経過を含め、今後の記事で詳細を取り上げます。
参考までに、大阪産業創造館のサイトに、問い合わせの多い相談事例として、「ホームページ制作でのトラブル」が掲載されており、わかりやすい記載に思えますので下記に転載します。この大阪産業創造館とは、その掲げるテーマも私どもの櫻ビジネス倶楽部にとても近いものです。
1.出来上がってきたホームページの内容がずさんで、契約した意味がない程のものであれば、契約を解除して、支払済みの代金の返還や損害賠償を請求できます。
ホームページの作成を依頼する契約は民法上「請負」という契約に分類されます。
請負契約の場合、相手方の仕事内容が不完全な場合、注文者の権利としては、次の3つがあります。
・ 相当の期限を定めた瑕疵修補請求権
(契約当初に合意した内容に作り直すよう請求する権利)
・ 損害賠償請求権
・ 契約解除権
① 瑕疵修補請求権
仕事(本件ではホームページの作成)内容に瑕疵(契約で定めた内容通りでなく、不満足な状態)がある場合には、注文者は請負人に対し、の修補を請求することができます(民法634条1項。但し、瑕疵が重要でなく、修補に費用がかかりすぎる場合は別です)。
② 損害賠償請求権
その修補に代え、又は修補とともに損害賠償を請求することができます(民法634条2項)。
この損害賠償の内容は、他の業者で修補してもらったときの費用がこれにあたりますが、これに限らず、修補しても仕事の完成が遅延したことや、修補によっても完全なものとならないことなどにより、なお填補されない損害があるときも含まれます。
但し、相手方に瑕疵修補義務と損害賠償支払義務はありますが、契約を解除できない限り、当方にも未払いの代金支払い義務は残ります。この場合も損害賠償との相殺は可能ですし(事実上の代金減額になると思われます。)、代金支払いと修補又は損害賠償請求権は同時履行の関係なので、相手方が仕事を完成するまで残代金を支払う必要はありません。
③ 契約解除権
残代金を支払わず、且つ支払い済みの代金を返してもらおうとすると、契約を解除しなければなりませんが、民法は、が重大なため契約の目的を達することができないときには、注文者は契約を解除することができると定めています(同法635条)。
契約の目的を達し得ない場合とは、修補が不可能ないし無意味な場合、又は相手方に修補の意思がない場合等を指し、極めて極端な場合ということになります。
本件では自分が思っていたものとは程遠いということですが、契約成立時にどういう内容と程度のホームページを作成してもらうことになっていたか、つまり両当事者の共通認識の内容が問題です。契約内容から遙かに遠いということであれば、解除できるということになると思われます。その判断としては、ホームページの作成目的、作成費用の額、他の業者との比較等が要素となると思われます。もっとも、業者が作成したものに一定の価値がある場合は既払の代金全額の返還までは、求めにくい可能性があります。
これらの場合にもさらに損害の賠償請求も可能です。
2.本件が契約の目的を達することができない程重大な瑕疵とはいえず、通常の瑕疵と判断される場合には、瑕疵修補請求と損害賠償請求が可能です。
瑕疵修補請求と損害賠償請求につきましては先述のとおりです。
3.内容証明郵便などで明確に主張しておいた方がよいでしょう。
以上述べましたように、貴社の場合、ホームページ作成を内容とする請負契約を解除し、且つ既払い代金を請求できると思われます。その旨内容証明郵便などで明確に主張しておいたほうがよいでしょう。なお、契約解除等の請求は納入があった時から1年以内に行う必要があります(民法637条1項)。